このページは、安保破棄中央安保実行作成・有事法案反対特集号04年4月
「有事関連法案反対討議資料」のＨＰ化させていただいたものです。
学習会等では、ぜひ討議資料(頒布価格1部20円）)を購入していただきますようお願いいたします。

さやか	有事法案が国会で審議されているそうね。
ゆうじ	そうなんだ。有事関連７法案と３条約が提出されているよ。
さやか	でも、去年、すでに有事法案は成立したんじゃなかったの？
ゆうじ	去年成立したのは、武力攻撃事態法といって、有事法制の基本になる法案だ。しかし、これだけでは動きがとれないので、米軍支援法案や国民統制法案など武力攻撃事態法を具体化する法案を提出したってわけさ。
	露骨な米軍支援
さやか	ふ〜ん。米軍支援法って、えらい露骨な名前ね。
ゆうじ	いや、正式には「武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律」というんだ。地方自治体も国民も米軍に協力させる、という法案さ。
さやか	やっぱり、露骨じゃん。
ゆうじ	ポクが一番びっくりしたのは、ＡＣＳＡ（物品役務相互提供協定）改悪案だ。地球上のどこでも、アメリカの戦争に、自衛隊がかけつけて、米軍支援ができるようになっているよ。
	最大のポイントは米軍の戦争に参戦
さやか	へえ〜。でも、そもそも武力攻撃事態って、日本に攻撃があった場合の話だと新聞には、書いてあったよ。
ゆうじ	そこが最大のポイントさ。ズバリ、有事法案は、「日本を守る」ものでなく、アメリカの戦争に参戦協力するものだ。ここを読み違えれば、有事法制の基本がわからなくなるよ。アメリカの戦争のために自衛隊が武力行使も含めて参戦する、地方自治体や国民を罰則つきで強制動員する、というとんでもない悪法だ。
さやか	３月20日にイラク戦争と占領に反対する国際共同行動に参加して、ずぶ濡れになったけど、アメリカのイラク戦争は許せないわ。こんな戦争に参戦・加担していくことになりかねないというわけね。
ゆうじ	そう。そういう戦争への道を開くものだ。日本は攻撃されていないが、アメリカが戦争をしている状態を「周辺事態」というんだ。周辺事態法で、このアメリカの戦争に協力する道に踏み出した。しかし、周辺事態法では、自衛隊は武力行使できず、後方支援に制限されているし、国民を戦争協力に強制動員することはできないという「制約」があった。
	周辺事態法の制約を取り払う
さやか	それを取り払うというわけね。
ゆうじ	そう。あたかも日本が攻撃されたときの対応であるかのように宣伝してるよね。しかし、このことは国会論戦でも、明らかになっていることだよ。政府も「周辺事態」と「武力攻撃事態」が重なることはある、と認めている。つまり、「周辺事態」ではできないとされたことが、「武力攻撃事態」と読み替えることで、可能になるんだよ。
さやか	トリックのようね。さきはどのＡＣＳＡでも、周辺事態のときは米軍に弾薬提供などできないのに、武力攻撃事態では弾薬提供ができるのね。
ゆうじ	やけに詳しいね。
さやか	アハハ。さっき、メールで教えてもらったばかりなのよ。
ゆうじ	相手国が陣地を構築したりすれば、武力攻撃「予測」事態とされ、それで有事法制は発動するんだ。米軍が先制攻撃を準備する、相手国は陣地構築などをはじめる、すると日本は予測事態ということで、米軍との共同作戦を発動していくんだよ。
さやか	そんなことして反撃でも受けれぼ、それこそ「攻撃された」として、自衛隊も公然と武力行使をするわけね。 　有事法案の危険はよくわかったわ。こんな法案が成立したら、どうなるのか不安だわ。
ゆうじ	本当だね。有事法案はたいへん危険なものであると同時に本当に愚かなもので、日本が世界で孤立化していく道だよ。わたしたちの方こそ、歴史の流れにも合致しているし、世甲の大勢なんだということをしっかり学ばないとね。
さやか	アメリカの始めたイラク戦争に反対する世界中の動きもこの一年すごかったね。確かにかアメリカこそ、孤立しているわね。
	アメリカの無法を支える有事法案
ゆうじ	有事法案というのは、イラク戦争のような無法なアメリカの先制攻撃戦争に参戦・協力していくものだ。国際法学者の藤田久一さんは「『国際法の支配』を『一超大国の法の支配』に変える米単独主義に基づく行動を、結局は支えることになるのが日本の有事法制の厳しい現実」と指摘しているよ。
さやか	国際法でなく、アメリカの一支配に協力するのが、日本の有事法制ってことね。現実にアメリカは、国連憲章をはじめとする世界の平和ルールをじゅうりんして、イラク攻撃を始めたからね。
ゆうじ	大切なことは、そんな無法はまかり通らない世界になっているということだよ。イラク占領に参加している国は、38カ国だけど、フランス、ロシア、中国という常任理事国をはじめ、どの大陸でも圧倒的多数がイラク戦争反対だよ。
	世界の平和ルールに敵対
さやか	スペインでは、この間の総選挙でイラクからの撤兵をかかげた野党が勝利し、次期首相のサパテロ氏は「イラク戦争は間違っている。スペイン軍隊は撤兵する」と表明した。ニカラグアとシンガポールは撤兵したし、ホンジュラスやニュージーランドも撤兵を表明しているわね。
ゆうじ	イラク戦争反対の経験は、本当に重要なものだ。地球規模の何百何千万人規模の反戦運動が開戦前から起こったし、一年たったけど占領反対をかかげ世論が持続している。こうした世論と運動を土台にして、各国政府も戦争反対を表明し、国運もアメリカの戦争を決して支持も追認もしなかったのが、たいへん重要なことだね。
さやか	国連はがんばったわね。安保理の様子が日本でも中継され、アメリカの横暴を批判するフランスの外相の演説に拍手がおこった場面は印象的だったわ。
ゆうじ	イラク戦争だけの問題としてでなく、アメリカの一国覇権主義の横暴を認めるのか、それとも国運憲章にもとづく平和ルールを守るのか、が問われているんだ。そしてヨーロッパでも、アジアでも、アラブでも、南米でも、アメリカの横暴を許さず、国連憲章にもとづく平和秩序こそ大切という考えがますます大きくなっているんだよ。
	世界の流れは国連憲章と憲法９条
さやか	ＡＳＥＡＮ（東南アジア諸国連合）の「平和憲法」といわれる東南アジア友好条約（ＴＡＣ）に中国とインドも加盟したと、ニュースで言ってたわ。ＴＡＣは「脅威を与えるような行動には、いかなる方法又は形態であっても参加しない」ことや、紛争の防止・平和解決をかかげているんだって。
ゆうじ	ＥＵ（欧州連合）の安全保障基本文書は「国際関係の基本的枠組みは国運憲章である。国連強化は欧州の優先課題」としているんだ。国連より日米同盟が大切という、小泉首相は異端児だよ。
さやか	憲法９条の方向こそ、世界の大勢だし、歴史の方向ね。そんなとき逆に、アメリカの無法な戦争に参戦を準備する有事法案を通そうとしているのは、許せないわ。
ゆうじ	いいところに気がついたね。有事法制をすすめる小泉首相が憲法改悪をねらっているのも、海外での戦争参加に憲法９条がじゃまになるからだよ。
さやか	有事法案許すな！　憲法改悪反対！って声をもっと大きくしなくっちゃ。
イラク戦争でもハッキリ 　国連憲章にもとづく平和秩序こそ本流 有事法案は世界から孤立する道