2007.7.20 381号 ダイジェスト版



 8月、大阪湾でまた海自が「海上展示訓練」

 一般市民の乗艦計画は5、800人(大阪港発着)

 呉の海上自衛隊が8月上旬に大阪湾で大規模な「展示訓練」をおこない、 乗艦希望者を募集して、一般公開することが判明しました。 今回は、神戸(摩耶埠頭)、淡路・津名、大阪の3港に約 15隻の艦船が接岸、8月4・5日の土日にそれぞれ5時間にわたって一般市民を乗艦させる予定。このうち、大阪港の天 保山岸壁には護衛艦「ひえい」「うみぎり」、練習艦「あさぎり」「やまぎり」の4隻が、中央突堤北岸壁には8900トンの輸 送艦「くにさき」が接岸、各艦に1日300〜600人の市民を乗せて訓練を見せます。他の2港からの乗艦も予定されており 総数は2万人近くになると予想されます。
 入港は3日夕刻、「入港歓迎式典」や「電灯艦飾」、「ひえい」艦上でのレセプション(4日午後)も予定され、6日朝に出港 の予定。 防衛庁が「省」に昇格し、「海外での活動」が自衛隊の「本来任務」に「格上げ」され、「海外派兵軍」への変貌 がいま急速に進められています。そのさなかに、「戦争する国」づくりの一環として、一方で国民に対する違憲・違法な「監視・ 情報収集活動」を続けながら、一方では自衛隊の威力と姿を誇示して、市民の取り込みを狙う、この大掛かりな「宣撫・懐 柔活動」に平和な商業貿易港が使われることを見過ごすことはできません。
 その上、自衛隊の動きが各地でいっそう目につくようになっています。
 奈良の航空自衛隊では祭典に際して戦闘機が飛来し低空で訓練を披露しました。伊丹の部隊の昼間市中行軍(6・11) に続いて、河内長野でも、迷彩服・小銃携行で夜間行軍訓練(7・8)が行なわれました。近鉄は「陸自・明野基地(三重県) 見学ツアー」(8・21)を計画、参加者を募集しています。堺では全高卒予定者に自衛隊勧誘チラシが郵送され、枚方でも団 地に隊員募集チラシが数回全戸配布されています。

川瀬さんの色紙頒布します

 

 大阪実行委員会は04年秋から、毎夏の「北海道平和ツアー」で訪れている矢臼別の反戦地主・川瀬氾二さんに色紙の 揮毫をお願いし、05年末までに約50枚を普及、全作品をカラーで収録した「色紙写真集」二千部も作成して普及に努めてきました。
 色紙は大変好評で、追加の揮毫をお願いしていたところ、さらに20枚が届いています。

「従軍慰安婦」問題で、仲晃さんからコメント

 イラク戦争4年の「3・20大阪集会」で記念講演された仲晃先生(元・共同通信ワシントン支局長など歴任)は、講演の最後の部分で、安倍首相の「従軍慰安婦」発言にふれ、米英諸国などで怒りと批判の声が高まっていることを詳しく紹介されました。

 講演をまとめて発行したパンフを読み返すと、米下院外交委員会での決議の採択にまで至ったこの問題の重大性を、「安倍発言」の直後から鋭く指摘されていたことに改めて感銘を受けます。

 その後の情勢の

進展のもとで、大阪実行委員会の求めに応じて、仲先生から11日、上記のコメントが寄せられましたので、ご紹介します

 「従軍慰安婦」問題に関する意見広告を悲しむ

 平成19年6月14日、自民党、民主党、無所属の国会議員44人らが連名で『「慰安婦」強制はなかった』と題する意見広告を、アメリカで最も権威あるメディアの一つとして、国際的な名声を持つ「ワシントン・ポスト」紙に寄せた事実を知って、怒りや失望よりもまず深い悲しみに襲われた。この意見広告ほど、現在の日本人が、自国の歴史を正確に認識せず、さきの大戦で他国の市民たちに与えた大きな打撃を理解していないことを明白に示したものはない。それだけでなく、この意見広告は、今日の日本が、戦後60年にわたって営々と努力を重ねることで、受け始めている少なからぬ国際的な評価を、一気に台なしにしかねない行動というほかない。

 この意見広告によって、戦後日本の民主主義的国家としての再生や、さらには人類初の原爆犠牲者としてのユニークな立場から、戦後一貫して掲げ続けてきた「不戦国家」「核の全面廃棄」といった輝かしいスローガンが、全世界から初めて疑いの目をもって見られ始めている。

 今回の意見広告の問題点は多々あるが、最大のものは、論理的に国際社会を納得させるにはほど遠い、という致命的なものである。

 日本政府は1992年、当時の河野官房長官が、従軍慰安婦の存在について、戦時中の日本政府の関与を公式に認めている。同95年7月には、当時の村山首相が、河野談話の上に立って、「女性のためのアジア平和国民基金」を発足させ、受領者には首相名で深い謝罪の手紙を渡していた。

 今回の意見広告は、こうした日本政府の誠実な姿勢を継承するどころか、これを全面無視して、戦後日本の悪しき民族主義を丸出しにしている。もし意見広告に名を連ねた人たちが、今回のような立場を表明したいのであれば、河野談話と村山首相の行動をまず全面否定し、その上で、今回のような意見を表明するのが筋ではないか。 ただし、そうする前に、今回の意見広告が、日本政府と国民の意見を広範囲に代表するものであることを、国際社会に納得させておかないと、日本政界の少数派の意見として、無視される恐れが多分にある。

 今回の意見広告はまた、敗戦日本の独立を認めた対日講和条約で、日本政府が約束した東京裁判の決定の全面支持をも撤回することにつながり、これは、日本国家と国民による重大な国際的背信行為として歴史に残る可能性がある。

 従軍慰安婦は、先の大戦中およそ20万人いたとされるが、河野官房長官にしても、村山首相にしても、これらの人々が100%日本政府(陸軍)の強制によるものだったといっているわけではない。20万人が「性的奴隷」とのべているわけでもない。数は不明だが、そのかなりの部分が、日本軍の強制措置によるものだった、としているにすぎない。

 それでも「従軍慰安婦」が、日本軍による強制を受けたという事実に変わりはない。逆に、今回の意見広告は、「慰安婦強制の文書が、今日まで保存されていない」というだけの根拠から、あたかも日本軍が強制的に集めた慰安婦が、一人も存在しなかったかのように主張している。実際には、5月にソウルで開かれた集会などで、戦時中日本軍に強制的に慰安婦にされた女性が名乗りをあげているのだから、意見広告に名を連ねた論客たちは、これらの女性に向かってどういうのだろうか。「強制徴用証明書」を出して見せなさい、とでも要求するのだろうか。

 日本の右派勢力が、強引きわまりない‘論理'をこねて、従軍慰安婦の存在を否定したことで、アメリカを中心とする国際社会で、慰安婦と女性の人権蹂躙問題がタイアップされ始めた。日本ではこれまで、この角度から問題がとりあげられることがほとんどなかったが、今後は国際社会の支配的潮流である人権尊重とからめて、慰安婦問題が糾弾されることになろう。今回の意見広告に唯一メリットがあるとすれば、こういった新たな視点をわれわれに思い出させてくれたという点である。日本政府が慰安婦問題を無視して、10人の拉致被害者の帰国問題を取り上げるときには、いつも20万人の慰安婦の問題が、同じ「人権尊重」の立場から提示されて、日本国民に反省を迫ることになるだろう。(了)

    日本ジャーナリスト懇話会会長 仲 晃

中央の「安保ブックレット(2)」普及開始

『米軍・自衛隊一体化と日本国憲法』

安保破棄中央実行委員会が緊急発行した「安保がわかるブックレット」第2弾『米軍・自衛隊一体化と日本国憲法ー市民を監視し、 海外で戦争へ』の普及・活用が始まっています。
 いま、日米同盟の侵略的強化が進む中で、「海外派兵軍」へ変貌しつつ、違憲・違法な国民監視活動を続けている自衛隊の危険な実態 を学習し、告発することは、憲法9条を守るたたかいを広げ強める上でも、たいへん重要になっています。

●ブックレット第2弾 A5版・64ページ 頒価 1部400円  

  米紙への「従軍慰安婦」強制否定の「意見広告」(6/14) に抗議し、米下院決議についての貴職の見解を求めます

 大阪実行委員会は、6月14日の「ワシントン・ポスト」紙に、「『慰安婦』強制はなかった」と主張する全面意見広告を掲載した「日本会議 議員懇談会」所属の自民党、民主党、無所属の44人の国会議員のうち、大阪と比例近畿選出の議員(西村真悟・大塚高司議員ら)5人に、標 記の抗議文書をFAXとメールで送信し、回答を求めました。現在まで、「回答不能」なのか誰からも返信はありません。
 6月26日、米下院外交委員会で、旧日本軍の「従軍慰安婦」問題で、日本に公式の謝罪を求める決議案が圧倒的多数(39対2)で可決されました。
 決議は日本政府に対し、(1)明確であいまいでない方法で謝罪し、歴史的な責任を公式に認める、(2)首相が公式声明で謝罪を表明する、(3)「) 従軍慰安婦」はなかったという主張を明確に公けに否定する、(4)現在と将来の世代に教育する、ことを求めています。
 戦後、戦略的な理由で日本の戦争責任を免罪してきた歴史をもつアメリカで、このような決議が改めて採択された意味は大きいといわなければなりません。
 3月1日に安倍首相が「慰安婦」問題で「強制性を裏付ける証拠がなかった、」と記者会見で発言、アジア諸国だけでなく、米英でも強い怒りと抗議の声が噴出しました。
 安倍発言の直後、「ニューヨーク・タイムス」紙は社説(3月6日)で「日本人の健忘症」と批判、「エコノミスト」紙は3月10日付の社説で「安倍よ、恥を知れ」とまで書きました。
 「安倍のごまかし」と題した3月24日付の「ワシントン・ポスト」紙は、「彼は北朝鮮による日本人犠牲者には熱心だが、日本自身の戦争犯 罪には目をつぶる」と指摘し、「主要民主主義国の指導者としての恥辱」「日本政府の方針は人権問題をめぐる『二枚舌』」ときびしく批判しています。 諸外国では、「無理矢理よその国へ連れて行ってひどいことをした」という点では、「拉致問題と従軍慰安婦問題は全く同じだ」というのが常識です。
 米下院本会議での決議採択も確実とみられ、国政を担う国会議員の国際的にも歴史的にも通用しない暴論を黙視することは許されません。

平和と歴史・文化を考える07年韓国ツアー

最近、日本に最も近い隣国・韓国とのさまざまな交流が広がり、強制連行・従軍慰安婦などの問題でも、米軍再編に関連した核・基 地問題でも、各分野で交流と連帯が前進しています。
 韓国では92年12月の大統領選挙で金泳三氏が当選、本格的な文民政権が発足し、民主化への大きな歩みが開始されましたが、大阪実行委 員会は、民間の交流がまだ緒についたばかりの94年に「歴史と文化を考える韓国平和ツアー」をおこない(7・27〜8・1、大阪14人、8府県から計30 人が参加)、大変好評だったので、95年夏にも「終戦50年記念韓国平和ツアー」(7・24〜29、26人参加)を成功させました。
 この間、朝鮮半島をめぐる情勢にも大きな変化がみられる中で、軍事同盟や侵略戦争に反対し、平和と憲法を守るたたかいをいっそう強める立場から、 12年ぶりの「韓国平和ツアー」を計画しました。
 現地での行動は、歴史的な史跡や日本の支配・独立運動ゆかりの地とともに、梅香里(メヒャンニ)や平澤(ピョンテク)など米軍基地に立ち向かうた たかいの地も訪れ、交流・連帯の場を設けたいと準備しています。
 アメリカとの軍事同盟に縛られたアジアの2つの国の市民レベルの交流が、「軍事同盟でなく、平和の共同体」という世界の流れの中でとりわけ大きな 意味をもつことを確信し、この「平和ツアー」への団体代表の派遣と有志の方々の積極的なご参加をよびかけます。

【行程】10月24(水)〜28日(日)


24日(水)

関空から午前便で釜山空港〜歴史博物館・竜頭山公園・チャガルチ市場見学(釜山泊)


25日(木)

慶州へ移動、仏国寺・石窟庵・古墳公園など観光、セマウルで天安へ(温陽泊)


26日(金)

独立記念館見学、平澤米軍基地・梅香里の元米軍射爆場視察、交流、ソウルへ移動(ソウル泊)


27日(土)

西大門監獄・景福宮・タブコル公園など見学、ナヌムの家(「日本軍」慰安婦歴史館)訪問(ソウル泊)


28日(日)

自由行動、ソウル仁川空港から午後便で関空へ。

  参加費(予価)12万5000円
  最少催行人員20人