◆新年より、映画「ひまわり」
上映開始
沖縄・宮森小学校米軍機墜落事件を題材にした映画「ひまわり」(2013年 年1月中旬から上映開始です。沖縄では超党派で製作委員会がつくられました。
◆映画「ひまわり〜沖縄は忘れない あの日の空を〜」公式HP◆
映画「ひまわり」のシナリオを読む
2011年11月10日
大阪安保 植田保二
「1959年6月30日、嘉手納基地を離陸した米軍ジェット戦闘機が、石川市宮森小学校に墜落炎上した。学童11名、近隣6名の尊い命が奪われ。210名の重軽傷者を出す大惨事となった。「ひまわり」を愛する幼い少年の夢も、少女の未来も、一瞬のうちに奪われてしまった‥。」と映画のタイトルに書かれている。シナリオを読みながら、何度涙することか。小学校6年のときに大惨事を経験していて、今(2011年)では63歳ということは、僕は同じ年である。事故後、生死を分けたことを回想して、「運が悪かった」で喧嘩が始まるが、そんな一言で済まされないことが理解できる。
良太「この島は‥、あまりにも悲しいことが多すぎる。でも、お互いが殴り合ったら負けだよ。もっとしたたかに生きなければな‥」の言葉の意味は大きい。
石川の市場でてんぷら屋をやっているセツの元で働き出した千恵そして広子、昌代、明美の3姉妹 。
野菜屋をやっている千恵、鮮魚店の苗など石川市の市場で働く人たちの素直で屈託のない仲の良さが表現されている。そして、市場の「いっぺい食堂」で子供一平の友達たちにカキ氷をおごってくれる親父の哲平の気のよさ。
こんな沖縄の人情が前半に描き出される。それだけに、6月30日の大惨事で、広子や一平が亡くなってしまった無念さが深く感じられる。一平が、聡子先生のことを心配して、手塩にかけた「ひまわり」を渡す意味とその優しさが表現されているだけに、そのすぐ後の大惨事に巻き込まれて死んでしまう悲しさは、読んでいてもやりきれない。駆けつけた父親哲平の言葉「戦争は終わったんじゃないのか。平和になったんじゃないのか。この沖縄はどうなっているんだよ!」
お葬式で、陽子先生が「沖縄の青い空はね、戦争で死んだ人たちの魂が集まってできた色なのよ。皆がじっとわたしたちをみているんだよ。戦争を起こしたら、駄目だよってね、戦争で死んだたくさんの人たちとの約束を守れるかねえって。青い空も青い海もわたしたちを見ているのよ‥。」
沖縄の自然のすばらしさは、青い空と青い海であることはわかっていたが、「戦争を起こしたらだめだよ」と言う亡き先輩たちの声と受け止める感受性は鋭い。
最終シーンでの和樹先生が育てたひまわり畑の黄色の鮮烈さが、きっと心に焼きつくと思う。今から映画になることを大いに楽しみにしている。