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とは


弾薬も提供、土地・家屋も取り上げ

 米軍支援法案は、有事法制の核心をなす法案です。これとセットで米軍に物資や役務を提供するため、ACSA(日米物品役務相互提供協定)改悪案と自衛隊法改悪法案が提出され、米軍支援体制を確立しようとして
います。


■先制攻撃準備段階から米軍支援
 法案の目的は、「武力攻撃事態等(武力攻撃予測事態を含む)において」、「アメリカものメリカ合衆団の軍隊の行動が円滑かつ効果的に実施される」ようにすることです。
 この「武力攻撃(予測)事能」は、アメリカが先制攻撃を準備する段階から、発動され、無法な戦争のために日本を全面的に協力させる、つまり自衛隊の武力行使をともなう参戦、国民の強制動員に道を開くものです。

■法案の柱
 法案の主な内・容は、○地方自治体や事業者(指定公共機関)は、米軍への協力の「要請に応じるよう努める」(第5条)○自衛隊による物品と役務の提供(第10条)○国民の土地の取り上げ(第15条)など。

■米軍支援は地域の制約なし
 周辺事態法とは違い、地域の制約はなく、自衛隊は、米軍の作戦地域で武器・弾薬の輸送提供ができます。提供できるのは、弾薬を含む補給、武器・弾薬を含む輸送、修理・整備、医療、通信、空港・港湾業務、基地業務、宿泊、保管、施設の利用・訓練に関する業務などです。

■改悪ACSAでイラク米軍への支援も
 米軍支援法にともなって、提出された日米物品役務提供協定(ACSA)改悪案は、これまでのPKO(国連平和維持活動)や周辺事態などに限定されていた対象を、@武力攻撃事態A武力攻撃予測事態B国際の平和・安全に寄与するための国際社会の努力の促進、その他の目的ーーにまで広げました。いつでも、地球上どこでも、米軍のために支援がおこなえるようになります。実際にインド洋やイラクなどへで米軍への物品役務の提供が広範囲にできるようになりました。

■地方自治体や事業者に米軍協力の責務
 地方自治体や事業者(指定公共機関〕には、米軍協力(行動関連措置)が「責務」になります。周辺事態法の場合、自治体には協力を「求め」、事業者には「依頼」できるというものから、さらに重い位置づけになります。

■道路も変える米軍
 米軍は、軍用車両の通行のため、道路を最優先使用するだけでなく、必要と判断すれば、じゃまになる車両などを破損・除去したり、道路を補修できます。

■土地・家屋の取り上げも
 米軍が必要と判断すれば、陣地構築のため、国民の土地・家屋の取り上げができます。また、立ち木を切り倒し、家屋などを形状変更(実際は破壊)することもできます。強制使用のための立ち入り検査を拒否・妨害した場合、20万円以下の罰金も科せられ、文字どおりの問答無用の土地取り上げがおこなわます。
 米軍の行動で被害が発生する場合、「損失を補償する」のは日本政府です(日本国民の税金!)。



とは


自治体・公共施設も「軍事優先」

 米軍や自衛隊が膨大な兵力と軍事物資を展開するために、港湾・飛行場・道路・海域・空域および電波を「特定公共施設」とし、軍事最優先利用=事実上の取り上げを保障する法案です。

■港も空港も道路も軍事優先利用
 港湾や空港の管理者(地方自治体など)は、首相の指示で、米軍・自衛隊を最優先にしなければならなくなります。
 米軍・自衛隊から「通知」を受けた自治体は、すでに予約してあった船舶や航空機の使用許可を取り消し、停泊中の船舶なども立ち退かせます。拒否しても、首相が実力行使できます。
 非核証明がなければ入港させないという「非核神戸方式」など、自治体の平和施策も、力づくでねじふせて、道路や電波も排他的に利用できるようになります。

とは

「保護の名のもとに、国民の権利をうばい、
戦争に強制動員


 政府が提出した「国民保護法案」は、国民を保護するものでなく、アメリカの戦争のために国民を「統制」し、「動員」する法案です。だいたい、イラクに自衛隊を派兵しながら、なにが「国民保護」でしょうか。本当に国民を「保護」するなら、「国権の発動たる戦争」「武力による威嚇または武力の行使」を禁じた憲法9条の道をすすむことです。法案は、根本から間違っています。

■これなしに有事法制は機能しない(石破長官)
 石破防衛庁長官は、「国民保護法がなければ有事法制はほとんど機能しない」とのべ、この法案の成立を最重要視しています。

■予測事態でも、緊急対処事態でも
 アメリカは、戦争支援のために、日本に、@米軍基地の提供A自衛隊の参戦B地方自治体や民間業者を含む国民の動員ーを要求してきました。国民の戦争協力がなければ戦争はできない、その柱になるのが、「国民統制法案」です。先制攻撃を準備する段階でもある「武力攻撃予測事態」でも適用されますし、大規模テロなどの「緊急対処事態」でも発動されます。

■「避難」という名の立ち退き
 「避難」が法案の目玉のようにいわれていますが、避難の指示も結局は、軍事優先。米軍の情報で、政府が判断します。「予測事態」で、一番危ないのは、米軍基地や軍需物資の集積場所ですから、周辺住民は避難させられ、膨大な米軍基地が生まれるようなものです。交通規制や立ち入り制限もおこなわれ、米軍や自衛隊の都合が最優先されます。

■物資の収用、従事命令が
 政府の指示で、知事が国民の物資の収用や保管、施設、土地、家屋の使用、医療従事者への従事命令などを発令します。運送事業者は、運送の求めに応じなければなりません。戦争協力の中心に位置づけられているのが、地方自治体と指定公共機関(別表)です。政府の対処基本方針に治って、広範な措置に動員され、事実上、統制下におかれます。

■人権じゅうりん
 法案は、「国民の自由と権利に制限が加えられる」として、財産権が乱暴に侵害されます。「指定公共機関」とされるテレビなどの報道も、規制されます。だからこそ、民放各社も反対を表明しています。戦争協力の強制は、思想・信条の自由のじゅうりんです。まさに憲法が保障した基本的・人権をふみにじる法案です。

■日常から戦争体制準備
 平時から戦争に備えさせる体制をつくろうとしています。
 国民は、「必要な協力をするよう努める」とされ、政府に「国民に対する啓発」を義務づけています。地方自治体も指定公共機関も、戦争に備えた「計画」を作成し、「訓練」もおこないます。「避難」訓練をはじめ、報道機関(放送局)、医療、交通などの分野でも「訓練」がおこなわれます。また「国民保護協議会」が全国各県、市町村に組織されます。

■罰則で国民を強制
 周辺事態法などと違い、罰則がズラリ(別表)。土地・家屋取り上げのための立ち入り検査、物資の保管命令、道路の通行規制など国民に懲役刑や罰金をもって、戦争協力を押し付けます。