日本の米軍基地の実態
安保破棄中央実行委員会、2000年日本平和大会実行委員会作成のパンフレット
「在日米軍基地による被害と犯罪」より転載(一部追記・訂正)日本全土をおおう米軍基地
 日本には、北海道から沖縄まで、全国各地に134ヵ所の米軍基地(1010平方キロメートル)があります。そのうち米軍専用基地は90ヵ所(うち面積の75%は沖縄に集中)で、他は自衛隊との共用です。
 日本の基地は、第二次世界大戦後の米軍占領基地の継続として存在、減少傾向にありました。しかし80年代から、自衛隊基地を次々に「共同使用」という形で米軍基地化(面積ではほぼ倍加)しました。
 日本では、ソ連崩壊後も、米軍基地は縮小されず、拡大・強化されています。首都東京のベッドタウンにある横田基地をはじめ、多くの米軍基地が人口密集地のど真ん中にあるため、騒音・事故など被害が深刻です。
 また基地以外に、訓練空域として24ヵ所、訓練水域として49ヵ所が米軍に提供されています(公海、公空を含む)。面積は、九州よりも広大なものです。
 この他、日本上空の8ルートの低空飛行訓練、および基地周辺でのNLP(艦載機の夜間離発着訓練)など、日本のどこであれ、航空法を無視し、横暴勝手に米軍が使用しています。

海外唯一の海兵隊、
空母機動部隊の拠点基地

 日本に駐留するアメリカ軍の兵員は、約4万人ですが、陸軍の実戦部隊はいません。主力は、沖縄を中心に配備されている海兵隊(第3海兵遠征軍)と横須賀、佐世保を母港とする第7艦隊です。海兵隊部隊と空母機動部隊が、米本土以外に駐留しているのは、日本だけです。これらの部隊は、インド洋、西太平洋など、グローバルな展開を任務としており、「日本防衛」のための軍隊ではありません。 ここにも、日本の米軍基地の特徴があります。

米軍基地の特権・横暴
日本の主権と
国民の意思を根本から否定

米軍は実際には基地・演習場や提供された海・空域外でもおおっぴらに軍事演習をやっています。 その端的な事例は、米軍機による超低空飛行訓練です。米軍の低空飛行訓練は、北海道から沖縄まで8つの訓練ルートを自由に使い、自衛隊訓練空域も使って行われています。 日本の航空法では航空機の最低安全高度を、居住区域では300メートル、非居住区域では150メートルとしています。ところが米軍の低空飛行訓練は、この制限をまったく無視しています。日本政府は「実弾射撃などを伴わない通常の飛行訓練は、提供した施設、区域の上空に限定されたものではない」とし、低空飛行訓練を容認しています。 またこれまで米軍の事故・米兵の犯罪が多数発生し、すでに日本国民の死者は1000人を超え、しかも公務中の事件・事故についてはいっさい誰も裁判をうけていません。公務外の事件・事故についても日本の裁判権放棄は欧米にくらべて格段に多くなっています。

被爆国に核持ち込み
 日本は非核3原則(核兵器を持たず、作らず、持ち込まさせず)を「国是」としていますが、米軍基地には核兵器が持ち込まれてきました。最近、米極東軍の秘密文書によって、50年代に核兵器(一部は核物質をはずす)が貯蔵されていた在日米軍基地のリスト(13ヵ所)も明るみに出ました。 ソ連崩壊後、米核軍事態勢の転換があり、艦船などの戦術・戦域核兵器は米本土に引き上げられていますが、有事のさいは再配備するとしています。有事などアメリカが必要と判断すれば、安保条約の核持ち込み秘密協定(60年1月6日、マッカーサー駐日大使、藤山外相頭文字署名「討論記録」)によって、いつでもアメリカは日本に核兵器を装備した航空機や艦船を寄港させることができる仕組みになっています。
日本の税金でまかなわれる
米軍基地
 1978年から、米軍の軍用施設から学校、住宅、ショッピングセンター、ボーリング場などの建設費、米軍基地で働く従業員の給料、米軍家族の水光熱費などまでも日本が負担する「思いやり予算」という制度がつくられています。 その額は、2000年度で2755億円。借地代などの米軍のための費用総額は、6619億円(米兵1人あたり約1600万円、約16万ドル)にもなります。基地の受入国が基地にかかわる大部分の費用を負担している。「米軍基地国家」日本の歪んだ一面です。
米軍の横暴に反対し、
基地の縮小を求める自治体
 米軍基地をかかえる14都道県の知事がつくる「渉外知事会」は1999年11月7日、政府にたいし「基地対策に関する要望書」を提出し、次のように要求しています。 ①米軍基地の整理、縮小と早期返還の促進および基地跡地の地元優先の公共利用を ②日米地位協定とその運用について、適切な見直しを行い、改善を ③特に低空飛行訓練は、騒音等の公害や重大な事故につながる恐れがあるので、地域住民の不安解消のため、その実態を国において明らかにするとともに、このような飛行が行われないよう措置すること。特に夜間連続離着陸訓練(NLP)を行わないことを日米の合意事項として明記すること。これらは、広範な国民の、一刻の猶予もできない切実な要求です。 私たちは、米軍基地を日本に置く根拠となつている日米安保条約の廃棄をめざし、それが国民多数の意思になるように活動しています。安保条約は、日本とアジアの平和に役立つどころか、逆に緊張を高めていると考えているからです。そして、21世紀は敵対関係でもなく、従属関係でもない、対等・平等な関係にたった平和・友好の日米関係を展望しています。ただし、安保条約の廃棄以前にも、この米軍基地の異常を告発し、その苦しみから解放されたいというのがさし迫った切実な願いです。 >